子供の安全ネットワーク・ジャパン副代表 山中龍宏
小児の誤飲(2) 有効策は乳幼児の環境からたばこ排除

 前回、ほとんどの赤ちゃんが誤飲していると、お話ししました。今回は、赤ちゃんの誤飲で、最も多いたばこについてみてみましょう。
 【事例】6ヶ月の女児、第1子。押し入れの掃除のために部屋中いっぱいにものを出していた。父親のたばこが1本落ちたのに両親とも気づかなかった。子どもが急に泣き出したのでびっくりして見ると、赤ちゃんの口にたばこが入っていた。

 たばこ誤飲の現状
 たばこの誤飲の70%は0歳児で、生後5〜6ヶ月よりみられはじめ、8ヶ月児に最も多くみられます。
日本中毒情報センターへのたばこの誤飲の問い合わせは年間に6千件前後、1日平均16〜18件で、これは総相談件数の16〜17%に相当します。このデータは10年間ほとんど変わっていません。

 どんなときに起こったか?
 どんな状況で起こったかをみてみましょう。たばこが置かれていたのは、床から50cm以下の場所が8割を占めています。赤ちゃんと同じ部屋にいて誤飲した場合をみると、「テレビを見ていた、居眠りをした、電話中」など、ほんの一瞬目を離したスキに起こっています。赤ちゃんと別室にいた場合は、「台所仕事、後片付、洗濯、掃除」などです。
 赤ちゃんを育てた、あるいは育てている方なら、こんな状況で誤飲が起こることはよく理解できると思います。

 たばこの中毒量と症状
 市販の紙巻たばこ1本中には16〜24mgのニコチンが含まれています。計算上、ニコチンの急性致死量は成人で紙巻たばこ2〜3本、幼児で1/2〜1本ということになりますが、たばこからニコチンが溶け出すには時間がかかる、胃の中ではほとんど吸収されない、吸収されてもニコチンの催吐作用により吐き出してしまう−ため、重篤な症状を呈することはマレです。しかし、たばこが水に浸かっていた液体を飲んだ場合は、速やかに吸収され、重篤な中毒症状を示します。
 たばこ誤飲の中毒症状の出現頻度は14%程度とされ、誤飲してから10〜60以内にみられます。

 たばこ誤飲の処置は?
 誤飲してしまったら、気づいた時点ですぐ吐かせることが原則です。たばこ誤飲の問い合わせがあまりにも多いため、1996年5月から、日本中毒情報センターに「たばこ専用相談電話」(TEL 06-875-5199)が設けられました。これは無料の自動音声応対方式の回線で、毎日24時間、年中無休で受け付けています。
 たばこを2cm以下誤飲した場合には特に処置を必要とせず、4時間観察して症状が出現しなければ問題ありません。何らかの症状がみられたり、たばこを2cm以上、あるいはたばこが溶け出た水を飲んだ場合は医療機関を受診する必要があります。

 たばこの誤飲防止は?
 たばこの害については皆さんよくご存じと思います。たばこの誤飲防止の一番いい方法は、乳幼児の環境からたばこを一切なくすことです。それができないなら、「生後5ヶ月を過ぎたら、たばこの誤飲が起こりやすいこと、たばこを床から1m以下の場所に置かないこと、ジュースの缶などを灰皿代わりに使ったりしないこと」を乳幼児の同居者、特に喫煙する人に積極的に知らせる必要があります。


| トップページに戻る
|

子供の安全ネットワーク・ジャパン事務局
〒606-0834
 京都市左京区下鴨狗子田町3-2
医療法人 誠仁會 伊藤病院内
 E-mail : office@safekids.ne.jp FAX : 075-791-0312

Copyright 1997 SAFE KIDS NETWORK JAPAN. All rights reserved.